「871569(やないごろく)」 箭内道彦

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【著者「箭内道彦」について、と本のあらすじ(というか構成内容)】
読み終わったとき思い出したのは「情熱大陸で見た、久石譲」。要するに、仕事を真剣に、とことん、やれるところまで、臨界点を超えて突き詰められる人。これは、今をときめく広告制作者(世にいう、クリエイティブディレクター)の語録集。1ページに1語録。なので、真剣に一文字一文字読んでもあっというまに読み終えられます。
ある分野の頂点まで到達できた人の凄さを感じました。ただ、そういう頂点に到達した人々の中でも、この人が突出して凄いかもしれない、と思ったところが一つ。ある種の頂点に、トップになったにも関わらず、力が入りすぎてないところ。トップの緊張感がない、とでも言うんでしょうか。醸し出す空気は2番手、みたいな感じ。まだまだ、これからいくぜ!っていう感じで…1番の悲壮感というか、重圧を感じているような重さがない。これいう感じの人はまだまだこれから先、伸びるかもしれない。しかも、「どこまで」っていう枠がない感じだから怖い。だってそれは、どこまでも無限に伸びられる可能性を、トップになったのに、まだ持っている。これは凄いことです。天井がない。この人、注目です。

【本の感想】
駅の本屋でふらっと立ち寄って読んだのがこの本。読むこと20分。読了。
さて、この本。買おうかどうしようか…読み終えて迷いました。私は膨大な本を読みます。できるだけ買うことはしません。部屋が本で埋まって生活スペースがなくなってしまうから。この程度の本なら、立ち読みで大体読めてしまうし、1〜2時間本屋にいれば、一通りの売れ筋本、気になる本は読める。古典的な名著は図書館で借りればいい。だから本は極力買わない。それでも買う本は、手元にずっと置いておきたい、大切な本。誰かとの絆の本。記念碑的な本。実用本。仕事で資料として使う本。以上。
けれど、迷いました。
さて、この本、買おうか、どうしようか…。この本は、私の中で分類されるならば「大切な本」。仲間が書いた本、です。著者の箭内道彦さんは、今日立ち読みするまで全く知らない人だけれど、読んだときに感じたのは、「あぁ、わかる」。自分のやってることが楽しくてたまらなくて、本当に素晴らしいことを職業にしたものだと思いながら、自分で自分を臨界点を超えるところまで追い詰められる、それが大好きでやめられない人。本当にイイものを創れる人。
ってことは、私もそれぐらい大人物でなければいけない、ってことになるのですが、私は残念ながらそんな大人物ではりません(少なくとも今のところは全く)。ただ、志が仲間!魂が仲間!そんな風に、私が、勝手に感じた!というだけのことです。もしかしたら…この作品を読んだら、みんながそんな風に思うのかもしれません。これは、やないさんによる、みんなへのエール!なのかもしれない。それこそが、本を買わない私にも、この本を「買おうかな」と悩ませたこの本の真の魅力なのかもしれません。
頑張って仕事する、必死でやる、夢中でやる、仕事楽しい!そんな人にはちょっと恥ずかしくていいづらい…と思いがちな気持ち、素直に肯定したくなる本です。やないさん、好きになりました。やないさんアンテナが、今日、私の中に新たに一本、立ちました。
【名ゼリフ・名言】
これはぜひ、本屋でパラ読んでほしいです。自分の心に響く言葉、っていうのは人それぞれ違うと思うので。そして、さてこの本、買おうどうしようか…。