ドラッカー⇒辿る⇒渋沢栄一⇒辿る⇒「論語」に辿りつくの図。

[渋沢栄一の「論語講義」 著者:渋沢栄一 平凡社新書]

ドラッカーが経営の本質を学んだのは渋沢栄一からだった。
そして、その渋沢が終生手放さなかったのが
―――『論語』だったのである。

そして、その栄一による『論語講義』を現代語訳したのが、これ

渋沢栄一の「論語講義」 (平凡社新書)

渋沢栄一の「論語講義」 (平凡社新書)


2010年9月15日初版、まだ世に出てから1ヶ月、
本当に初々しい本ですね〜^^
こういう新刊本でイイ本にめぐり合えた時は、
図書館ではなく、アマゾンではなく、BOOKOFFではなく、
「本屋さん」じゃなくちゃ、
という気持ちになります。
町の本屋さんも意味があるなぁ、と思う瞬間、
いわゆる「目利き」的なお仕事ですね、現代で本屋さんが生き抜くためには。
がんばってください〜〜〜☆

ドラッカー、言わずもしれた経営の神様、
私も、かれこれ10年前くらいから、彼がなくなるまでは
そりゃあもう、随分読みました。
女性が読むには、はじめはちと重いかも(ってかかなり重い)
難解読書、の部類に入るかもしれません。
だけど面白い。非常にシンプルで強い重大なる法則がいかに意味あるものなのか、
が、緻密に書かれてます。
そういえば、最近はドラッカー超訳本ともいえる本が売れてますね〜
もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」

まー、とりあえずこの本一冊読んでおくのはテでしょうね。
そして、面白かったらドラッカーを読む、と。

でねでね、ドラッカーがいかに凄い人だったのかは、
現代日本のある程度以上のポストについておられる
ステキなおじさま方はよ〜くご存知かと思うのですが、
そのドラッカーが崇拝していたのが、

日本の貨幣経済の礎「渋沢栄一」であったと。
栄一は、敗戦のどん底日本を奇跡的な経済復興へと導いた、
まさに立役者だと、私は思います。
最も金にまみれる立場において、最も金にまみれることのなかった人。
「お金」との付き合い方の本質について、深い洞察力があったのだと
私は思います。

これは、ドラッカー読んでるおじさまなら、
・知ってた派
・知らなかったけど、超嬉しい派
このどちらかしかないのではないでしょうか?
世界のドラッカーが好きなのは、日本人である栄一だというのなら!ねぇ!!

でねでね、そのドラッカーが敬愛する「栄一」が
終生手放すことがなかった、MY教科書が『論語』だったと。

…これは、読むしかないんじゃないでしょうか?
世のおじさま方!ぜひ、私と一緒に読みましょう☆

【本書の名言】
《栄一の講義部分を一部抜粋》
そもそも人間を観察するには、まず第一に、その人の外面にあらわれた行動の善悪や正邪を見る。第二に、その人がいましている行為は、何を動機にしているかをとくと見極める。第三に、さらに一歩進めて、その人の安心はどこにあるのか、どの辺りに満足して暮らしているのかを察知すれば、必ずその人の嘘偽りのない性質が明らかになる。いかにその人が隠しても、隠せるものではない。
〜略〜
この三段階の観察法を使っていけば、人がいかに外見をごまかいsても、どうしてその是なくの性質まで隠せるだろう。善人は善人、悪人は悪人だとはっきりわかり、あたかも地獄の閻魔様が整然のその人の善悪を映し出すために使う「浄玻璃の鏡:にかけたようになるだろう。本章の最後の言葉を二度繰り返しているのは、決してその識別に誤りがないことをはっきり断言しているのだ。
(為政第二の10より)

【本書の構成】
学而第一/為政第二/八佾/里仁第四/公治長第五/雍也第六/述而第七/子罕第九/郷党第十/先進第十一/顔淵第十二/子路第十三/憲問第十四/衛霊第十五/季氏第十六/陽幣第十七/微子第十八/子張第十九/尭日第二十/論語総説/「論語講義」を中心として渋沢栄一年譜

上記の項目を、
1:論語からの抜粋(現代語訳・漢文、両方掲載)
2:それを受けての栄一の解釈(講義)
3:ときどき最後に(解説)※知っていたほうがわかりやすい内容に訳者がコメント
という順にそれぞれブレイクダウンしていきます。
論語自体に完全現代語訳がついているうえ、渋沢栄一がそれをもとに「講義」していてそれが全掲載されている訳ですから、非常に読みやすいです。
そして、はっとするような、思わず片手に鉛筆もって線引きたくなるような、
すばらしい言葉の宝庫です。座右の書、として持つ価値ある一冊です。
いわゆる上流にいる方は読んでしかるべき一冊ではないでしょうか。

【こんな方におすすめ】
日本経済不況を嘆き、自分の会社の景気低迷を嘆き、なんとかしようとお思いの経営陣の方、渋沢栄一好きの方、ドラッカー好きの方、禅語・論語・中国思想に興味のある方、西郷・大隈・山県など維新の立役者に興味をお持ちの方(実エピソード満載です)、維新の歴史が好きなかた

はぁ〜〜〜〜、イイ本って、ぱりぱりしてる感じがする。
そして読み終えた後、すっきりした気分になるんですよね。
にしても今回は、
ドラッカー渋沢栄一/禅語とか中国哲学思想
と全てに萌え萌えな私にとってはこれ以上ない垂涎の本でした

新書ブームも、だいぶ盛りを過ぎて、
少し辟易気味だなぁ、という位までくると、
こういう、おっ。といういい本でマニアな感じの本が、
出たりします。これぞ掘り出し物。
大ブームがあったからこそ、「ま、いいんじゃない?」的に
OKもらえた本だろうなぁ。いや、いい本にめぐりあえました。

【関連のご案内】
☆王子に渋沢栄一資料館があります。いいとこです。
http://www.shibusawa.or.jp/museum/index.html
ちなみに、栄一様はめちゃめちゃ多産です。(もちろん栄一が生んだ訳ではないよ(笑)