ある出会いによって本を思い出すということ〜数学者列伝

すごく感動しやすい。という性質を
私は多分に持っているように思います。

何かを見たり、聴いたり、触れたり、
誰かに出会ったとき、その瞬間の声や、笑顔や、ふと発した言葉、
音楽、映画、本、マンガ、言葉、、、
あらゆる”感動的”なものに出会った瞬間、
その”感動”に関連する、過去の蓄積のあらゆるものが
イメージとしてばんばん!と沸いてくるのです。


今年出会ったある人に際して、久々に思い出したのがこの本。

天才の栄光と挫折―数学者列伝 (新潮選書)

天才の栄光と挫折―数学者列伝 (新潮選書)

天才の栄光と挫折―数学者列伝 (新潮選書)

藤原正彦の「国家の品格」は正直、私にとっては、
「ま、ふつー」だったけれど、この本はよかった!

だいぶ前に読んだ本なので、イメージでしか覚えてないけれど、
超有名な数人の数学者の人生について
丁寧に、愛をもって描かれている。

数学者って、哲学者に似てるんだなぁ。と思う。
もちろん、学問の派生の歴史を考えれば、そのままずばりなんだよね。
古代ギリシャにさかのぼれば、
全ての学問の祖こそが、「哲学」であり、
そこから「数学」や「音楽」が神へ捧げる学問として分離、
「芸術」「美術」…どんどんと哲学からいろんな分野が分離し、
最も近年分離したのが「科学」だろうか。
今や、哲学の最後の砦と思われていた”心の問題”すらも
脳科学」として切り離されつつある昨今、
「哲学」に残されるのは、いったい・・・
その狭き道を突き詰めることこそ、哲学の宿命であり命題であるのか。

…と、「数学」に話を戻します。

数学、って私好きです。美しいから。
特に、統計学が好き。統計心理学が最高に大好き。
ある一定量にまとまると、驚くほど美しく、
ある一定の法則を示す。その美しさは、どれほどたくさんの数字を
どれだけ眺めていても飽きない。美しい。

この「数学者列伝」の中では、
関孝和(日本人です)
・『フェルマーの最終定理』を証明したワイルズ
の2人のところが最高に好きだった記憶がある。
数学という美しさに魅了されてる感じ、
そして、数学者の”数学”の高みに、極みに
どこまでもどこまでも到達しようとするその志の高さ、が
ものすごく好き。すごくすごく共感できたのだと思う。

人間にとって、真に楽しいものとは、
気軽だったりラクチンだったりするものとはむしろ真逆、
大変だったり辛かったりするけれど、それでもやめられない、その先にこそ
あるんだと思う。

この本に紹介されている数学者は、まさにそんな「真の楽しさ」を知る人たち。
そして、数学とは、
「真の楽しさ」を知るに足る、素晴らしくも魅力的な分野なのであると、
心底思っている著者・藤原正彦氏の
数学への崇高な愛を感じる名著でした。
久々にまた読み返してみようかな〜

【こんな人におすすめ】
数学好きな人/哲学好きな人/歴史上の有名人好きな人/論理的に考えることが好きな人 などなど