現代日本に残る”粋”なるもの

”粋”なもの、ってどんなものでしょう?
と問われるとなかなか即答できないものですよね〜(少なくとも私は苦手・・・^^;)

ただ、「嗚呼、なんて粋な世界が、まだ残っているものなのかしら」と
最近思っているものがあります。
――落語。

実際に見に行くのが一番!と思いますが、活字中毒派の方には
この2冊をおすすめします。

赤めだか

赤めだか

●赤めだか 作者: 立川談春 ●落語家はなぜ噺を忘れないのか (角川SSC新書) 作者: 柳家花緑

「赤めだか」は割りと有名な本ですよね。
立川一門の棟梁様である談志(だんし)と、立川一門にその後続々と入ってくる
若者たちのドタバタはちゃめちゃな日々と、ときどき垣間見る談志の優しさ…
そんなもろもろが相まって、あっという間に読み終えてしまいます。
落語会において立川一派がどんな立ち位置なのか、も明快にわかる。
彼らのやる気、も理解できる。今や「古典」となった落語を、現代において
どういう距離感でつなげていくのか――立川一門は、そういうことを、本気でやってる
流派なんだ、とこの本で理解できた瞬間、私はなぜか涙が出てました(涙腺ゆるいんです・・)

談志さんの”優しさ”って、ジミー大西を馬鹿にしつつ食わせてやりつつ、
そして、絵画の才能見つけてやれる。そういう類の優しさなんだと思う。
あー、あと、ビートたけし、とか。

「落語家はなぜ噺を忘れないのか」は…ご存知の方は少なめでしょうか…?
ただ、良書ですよ。とっても☆
柳家花緑(やなぎやかろく)さんというのは、落語会の人間国宝柳家小さん(やなぎやこさん)」の孫でありお弟子さん、という立場です。落語会のプリンセス、といえばわかりやすいでしょうか。その花緑さんが、自分の小さい頃のことから今にいたるまでぜ〜〜んぶ書いちゃった、というのだから、これはある意味すごい暴露本です(笑
だって「落語の覚え方はね…人に聴きに行って、寝そうになって〜、お礼はね、こうするんだ」とかそんな話から、「実際何本覚えているのかっていうと…即座にできるのは意外と少なくて20〜30、ちょっとおさらいすればできるのが、最近肌に合わない(年齢とか経験とか)が、、、」とか非常に具体的に書かれている。そんな内幕を全部しゃべっちゃっていいの!???みたいな気持ちになりながら読んじゃいました。あ、小さい頃の修行のさせられかたも凄かった。築地の魚河岸やにいきなり丁稚奉公に行かされて、もちろんお坊ちゃん扱いなんてしてもらえない、配達の品を云々〜みたいな面白い修行時代の話も満載。
私がもっとも感動したのは、「小さん」と「立川談志」さんの話でしょうか。この2人、師匠と弟子の関係。小さんが最もかわいがりその才能を認めていた談志、談志も師匠をめちゃめちゃ尊敬してた。だけど談志は、落語会の体制についてもの思い、結局、自分で新しい「立川流」を総説しちゃう訳で、落語会の長たる「小さん」は…ねぇ。その実際のところの、個人と個人の気持ちとそれぞれの立場の狭間での2人の行動や言葉を、当時ちっちゃかった花緑くんの記憶が紐解いていくわけなのですが…これは感動的。この本、落語会の人は全員読むべきだと思う。その部分だけでも。それぐらいの高い志を持って、芸に励んでるから、あの人たちは、ああいう立場に至ったんだな、とすとんと腑に落ちます。
人間、高い志にまでたどり着けるかどうかはわからないけど、
志が高くなければ、そも、高いところまで至れないですよね。
そんなことを自然に思いました。


ということで、私が最近、熱心に機会があれば見ているのは、
柳家花緑(やなぎやかろく)、立川談春(たてかわだんしゅん)
2人とも40代?もっとも脂ののった、いい時期の芸人さんです^^
花緑さんは、おぼっちゃま、いい人、ちょっとお惚け?系の
あたたかい優しい芸風で、いらっしゃるお客様も品がいい感じ。
談春さんは…ぐいぐいひっぱる感じ。”場を持ってく”みたいな、
強さがある。(もちろん、そこは落語世界なので、力づくではなく、笑いで、ですが)

最近はこれに行きました↓
●らくご×情熱大陸
2010/9/4(土)18:00開演 桂米團治立川談春柳家花緑 / 斉藤和義
http://www.mbs.jp/jounetsu/rakugo/
●「花緑ごのみvol.27」
2010/10/20(月・祝) 柳家花緑独演会
http://www.me-her.co.jp/karoku/

落語って、いわゆるその辺で日常的にやってるものだと2〜3千円で見られて
数時間思いっきり笑えて、すっきり楽しい気分で帰れるです。超お得☆
気軽にぜひとも行ってみてほしいだす。

P.S…ブラックというか、強烈に濃ゆいものが見たい、という方には、
立川流の「立川らく朝」のをオススメしておきます。
医者で自身が癌になって闘病生活を越え、それをネタとして落語する方です。
癌になった本人にしかいえないような凄い言葉がガンガン出てきます。
数年前に見たんですが、すごい衝撃的。今も忘れられないインパクトがあります。
癌になるって、こういう壮絶なことなんだなぁ、と当たり前のことを強烈に思い知らされます。

全く関係ありませんが、医者で落語家って、私はすんなり腑に落ちます。
できる芸人って、超頭いい!から、その才能を何に使うかなんだろうな、という。ね。