引き続き備忘録的に・・・

またまた、最近の読書歴だけ
取り急ぎ記載します。

【読書】
カフカ「城」
ドストエフスキーカラマーゾフの兄弟」中盤!
デリダ「他者の言語」
スーザン・ソンタグ「同じ時の中で」

2010年は、【哲学・思想・宗教書】と【古典的名著】に明け暮れた
一年だったなぁ・・・。

【観劇など】
ギリシャ叙事詩イリアス
・落語2本 立川談春柳家花緑
・「バッハ 受難曲」大聖堂カテドラル
(これから行く予定のもの↓)
・借り暮らしのアリエッティ 展示
ウィリアム・モリス
・刺繍展(日本橋三越
・石の展示会(新宿)

読書の備忘録

やっと涼しくなって読書も順調!なのに(だから?)更新する時間がとれません(泣)
忘れないうちに、読み終えた本だけ備忘録的に記します。
感想&あらすじ、はいづれまた改めて。

●マザー MOTHER(平山瑞穂
●こころの杖ことば 全3冊(松原泰道) 
●総員玉砕せよ!聖ジョージ岬(水木しげる
ヒットラー水木しげる
●禅語(石井ゆかり) 
●あの娘は英語が喋れない!(安藤優子
●タイトル失念……(坂村真民

ぼく、ドラえもんでした。 大山のぶ代

「ぼく、ドラえもんでした。」 大山のぶ代

ぼく、ドラえもんでした。涙と笑いの26年うちあけ話

ぼく、ドラえもんでした。涙と笑いの26年うちあけ話

【作品概要】
藤子・F・不二雄原作の漫画、ドラえもん。26年間その主役ドラえもんの声を担当し続けた大山のぶ代によるドラえもん史。

さて、どんなものか…と読んでみた。

【あらすじ・概要】
2005年3月4日、26年間続けてきた「ドラえもん」録音の最後の日から物語はスタート。のび太くん、しずかちゃん、ジャイアンスネ夫…仲間たちと共に息もぴったり!で始まった第1回収録。驚きの高視聴率、人気はのぼり調子、夏休み・冬休みの特番、そのうち映画化も決定、映画に関連するPR仕事やキャラクターCM、映画前の舞台挨拶(ドラえもんのぬいぐるみと一緒に)、各地への公演…と緊張に多忙を極めつつも楽しい毎日。そんななかで実際に全国のたくさんの子供(そしていつの間にか子供から大人になってもファンでい続けてくれる大人、も)に出会い、ドラえもんが与える影響、笑顔、みんなの素敵な反応に時に涙、時に笑顔の大山さん。みんな、ドラえもんの前ではいい子になれる。(子供も大人も)。もちろんハプニングも…。

EX.大山さんのサインをもらおうと長い行列の子どもたち。車椅子の男の子がお母さんに押されて、列を飛び越してやってくるも大山さんの「みんなと同じだよね?」に「うん、おんなじ」と笑顔で待つ男の子。そこから始まった1年に1度の文通は、今も続いてる。
EX.映画試写会に集まった満席の子供たち、それなのに…映画が出来上がらなかった!!…スタッフも蒼白のなか、「映画チケットと全員プレゼントとお詫びの説明」するも、今日、ドラえもんと会える!と楽しみに来た子どもたちは、あえないと聞いて泣き出してしまう…。ごめんなさい!と一緒に泣き出してしまう大山さん。

そんななか、藤子・F・不二雄氏の死、その後もみんなで盛り立て続けた日々、みんなで悩んで考えての引退…。その後、そして現在。副題に「涙と笑いの26年うちあげ話」とあるとおり、まさに、テレビ放映の最初から26年間かかわり続けてきた大山のぶ代による、マル秘話。

【感想】
いわゆる超人気作品というのは、本当に驚くほど多くの人が関わって完成している。その「スタッフみんな」が本当に仲良く、ドラえもんと一緒に、手と手をつないで、日本中の(いまや世界中の)子どもたちへ向かって、「いいものつくろう!」と明るく楽しく元気に、時に涙し、時におびえ、驚き、そして勇気をふるって立ち向かった作品なのだな、ということがしみじみと伝わってくる。そして、大山のぶ代さん、こんなにまっすぐにこんなに純粋に、自分の仕事を楽しみ、そしてドラえもんを心から愛した人もいないかもしれない。こんなに誰かに愛されたキャラクターは幸せだなぁ。と心がほわっと明るくなりました。小学校の頃、そうえいばドラえもんみたなぁ、という方、自分がリアルタイムで見ていた、あの「ドラえもん」にもう一度大人になって出会えたら…そんな、なんともいえない邂逅があるかも。一読の価値ありです。

愛する人に。 石井ゆかり

禅語を読みまくっていたときに、ネットで当たった石井ゆかりさん。以来、彼女がつむぎだす言葉のファンです。星占いサイト「筋トレ」主催者というのが、彼女の肩書きであるけれど、石井さんの根本的な魅力は、多くの人を魅了してやまないその「言葉」であり、つまるところ「思考」であると思う。

愛する人に。 石井ゆかり

愛する人に。

愛する人に。

この本を読んでその思いを確かにした。この人は、いわゆる哲学者であり宗教者なんだな、と。その知識は大海のように深く広く、他者への視線はどこまでも優しい。そして一心にひたすらに、人間の心をみつめて、人間の本質をみつめてつむがれる言葉たちに、癒され涙する。
時折文中に引用されるのは、「シラノ・ド・ベルジュラック(エドモン・ロスタン)※オペラ座の怪人、の元になった古典」に「ガラスの仮面」「経済学・哲学草稿(カール・マルクス)」と実に幅広い。あ゛〜…元来、そういう方なのですね。ナットク。
石井ゆかりはさんは「私は占い師ではない」「もの書きです」といろんなところで話しているけれど、本当にそうなんですね。ゆかりさんが考えていること感じていることがまず先にあって、そういうことを伝えていくのに「星占い」は面白い魅力的なツールだった、ということなのですね。

【本の内容】
片思い、嫉妬、死別、セックス、不倫、遠恋、結婚…愛に関する15のテーマで書かれた哲学書。他者を愛することは、何よりも自分と向き合うことであるのだ、とすとんと心に入ってくる。

泉鏡花、論。〜別冊太陽 美と幻影の魔術師 泉鏡花

泉鏡花、私が「好き」と言える作家の一人。泉鏡花本人に関するもの(要するに評論を除く)は、ほとんどの場合、無判断で購入します。
今日もまた、一冊。

別冊太陽 泉鏡花 美と幻影の魔術師 (別冊太陽 日本のこころ 167)

別冊太陽 泉鏡花 美と幻影の魔術師 (別冊太陽 日本のこころ 167)

平凡社ならではの別冊本なので、ぱらぱらとめくり楽しむ。うちに、ふと気づいた。
そうか、だから私は鏡花がこんなにも好きなのか。と。
目に入ったのは、この言葉。
―人間の心に潜む闇に、泉鏡花が〜

泉鏡花の作品は、「色の魔術師」とか「華美」とか言われるように、その表されるものは誠に美しくきらびやかで、そして、ひたひたとする静けさ、募るような怖さが―ある。初めて鏡花作品を読んだのは…15年も前のこと。その文章に惹かれて惹かれて、気がつくと読み終わっている。「あれ?結局、なんだっけ?」と筋を知らんがために、もう一度辿る。この読書の衝撃、今でも忘れられない。要旨を捕まえられないくらい、その瞬間瞬間に強く強く引き込まれてしまう。そして、要旨が捕まえられないのに、ぐいっと捕まれた私の心は、読み終わってもその場所におり、戻ってこられない―。
鏡花の文章には、やさしくてひんやりと繊細で美しいのに、そんな真に迫る恐さ、がある。

今日の今日までずっと、私はその文体に惹かれているのだと、そう思っていた。こういう文体がすきなのだと。元来、”やりすぎ”といわれる位に編集度の高いものを好む傾向があるから。

鏡花が描く絵空事、の、その描き方が私は好みなのだと思っていた私は、いかに「自分を知る」ことにおいて浅はかだったのか。私が本来愛してやまなかったのは、絵空事のように描くことでしか描けないほどに凝縮された、人の心の奥深く。人間の真相。さらに言えば、じぃと見つめて見つめて、その心のひだのひだ、その微細な色形まで見つめ抜いてそれを知ろうとし、言葉にしようとする鏡花の姿勢に惹かれて続けていたのだ。

もちろん、その編集度の高さも、この鏡花の姿勢ゆえ、ではあるけれど。
本当に伝えたいことを伝えるには、真剣に、10倍、100倍、の微に入り細を穿つような決め細やかさと、そのためには、不要なことをざっぱりと痛いほどに思い切りよく切り捨てる作業と、この両方が必要である。鏡花作品は、この2つが、突出している。

たとえば「外科室」。
【あらすじ】9年前にすれ違ったとき一瞥をくれただけの男女が、執刀医(男)と患者(女)として出会う。執刀の瞬間=死の瞬間となるそのときに、お互いに秘めたその'愛'を打ち明けあう。女、絶命。

外科室・海城発電 他5篇 (岩波文庫)

外科室・海城発電 他5篇 (岩波文庫)

まとめれば3行で済むこの筋、ここには、男女の'愛'を究極にまで純化させた、人間の真相についてのある結論だけが、その結論だけを強烈に感じられるように、描かれている。と思う。

自分の好きなものは、自分を知ること。でもあると思う。

【別冊太陽 泉鏡花〜美と幻影の魔術師 の感想(まとめ)】
鏡花好き暦15年にも、はっ。という瞬間を与えてくれる本。いつもながら、平凡社の別冊太陽シリーズは美しく、かつ、大胆、そして細部まで行き届いている。観ていて気持ちがいい。写真を大きく使っているのがまた○。鏡花主要作品のあらすじ、美本装丁について(橋口五葉、小村雪岱鏑木清方他)も良。よくまとまっていて美しい。ビジュアル化を真剣にやっていて、鏡花作品の入門書・案内書的には良書。明治文学や、耽美主義、歌舞伎等々の方面について興味がある方は一読の価値あり、かと。(鏡花で卒論書く人は、書き出す前に買うことをおススメ)

「871569(やないごろく)」 箭内道彦

871569

871569

【著者「箭内道彦」について、と本のあらすじ(というか構成内容)】
読み終わったとき思い出したのは「情熱大陸で見た、久石譲」。要するに、仕事を真剣に、とことん、やれるところまで、臨界点を超えて突き詰められる人。これは、今をときめく広告制作者(世にいう、クリエイティブディレクター)の語録集。1ページに1語録。なので、真剣に一文字一文字読んでもあっというまに読み終えられます。
ある分野の頂点まで到達できた人の凄さを感じました。ただ、そういう頂点に到達した人々の中でも、この人が突出して凄いかもしれない、と思ったところが一つ。ある種の頂点に、トップになったにも関わらず、力が入りすぎてないところ。トップの緊張感がない、とでも言うんでしょうか。醸し出す空気は2番手、みたいな感じ。まだまだ、これからいくぜ!っていう感じで…1番の悲壮感というか、重圧を感じているような重さがない。これいう感じの人はまだまだこれから先、伸びるかもしれない。しかも、「どこまで」っていう枠がない感じだから怖い。だってそれは、どこまでも無限に伸びられる可能性を、トップになったのに、まだ持っている。これは凄いことです。天井がない。この人、注目です。

【本の感想】
駅の本屋でふらっと立ち寄って読んだのがこの本。読むこと20分。読了。
さて、この本。買おうかどうしようか…読み終えて迷いました。私は膨大な本を読みます。できるだけ買うことはしません。部屋が本で埋まって生活スペースがなくなってしまうから。この程度の本なら、立ち読みで大体読めてしまうし、1〜2時間本屋にいれば、一通りの売れ筋本、気になる本は読める。古典的な名著は図書館で借りればいい。だから本は極力買わない。それでも買う本は、手元にずっと置いておきたい、大切な本。誰かとの絆の本。記念碑的な本。実用本。仕事で資料として使う本。以上。
けれど、迷いました。
さて、この本、買おうか、どうしようか…。この本は、私の中で分類されるならば「大切な本」。仲間が書いた本、です。著者の箭内道彦さんは、今日立ち読みするまで全く知らない人だけれど、読んだときに感じたのは、「あぁ、わかる」。自分のやってることが楽しくてたまらなくて、本当に素晴らしいことを職業にしたものだと思いながら、自分で自分を臨界点を超えるところまで追い詰められる、それが大好きでやめられない人。本当にイイものを創れる人。
ってことは、私もそれぐらい大人物でなければいけない、ってことになるのですが、私は残念ながらそんな大人物ではりません(少なくとも今のところは全く)。ただ、志が仲間!魂が仲間!そんな風に、私が、勝手に感じた!というだけのことです。もしかしたら…この作品を読んだら、みんながそんな風に思うのかもしれません。これは、やないさんによる、みんなへのエール!なのかもしれない。それこそが、本を買わない私にも、この本を「買おうかな」と悩ませたこの本の真の魅力なのかもしれません。
頑張って仕事する、必死でやる、夢中でやる、仕事楽しい!そんな人にはちょっと恥ずかしくていいづらい…と思いがちな気持ち、素直に肯定したくなる本です。やないさん、好きになりました。やないさんアンテナが、今日、私の中に新たに一本、立ちました。
【名ゼリフ・名言】
これはぜひ、本屋でパラ読んでほしいです。自分の心に響く言葉、っていうのは人それぞれ違うと思うので。そして、さてこの本、買おうどうしようか…。

カラマーゾフの兄弟 ドストエフスキー

最近、仕事の大波を乗り越えました。
やっと、落ち着いて読みたかった重めの本を読み出せます。
嬉しすぎる…(泣)

カラマーゾフの兄弟〈上〉 (新潮文庫)

カラマーゾフの兄弟〈上〉 (新潮文庫)

まだ、ほんの読み始めですが、
めちゃめちゃ面白い!軽快!読みやすい!!
正直、難解大量読書系(最後の方まで行くと、俄然楽しくなるけど、そこまでが辛い…)だと思っていたので(勝手な思い込みです、スミマセン>ドストエフスキー様)、かなり意外でした。
同じ感想を抱いている方がもしいたら、ぜひとも、騙されたと思って、読んでみていただきたい!って感じです。

内容に関する具体的な魅力については、もう少し読み進めてから書きます。